水痘の患者の診察の際にN95をつけるべきなのかどうか?について改めて調べなおしてみました。
きっかけは麻疹から
麻疹では強い感染力から、”たとえワクチンを打っていたとしても”、N95をつけるべきといわれています[1]。なにせ麻疹は基本再生産数12-18、歴代一位の感染力を有し、空気感染を起こす病原体です。では、水痘は、というと基本再生産数8-10でそれに次ぐ感染力となっています[2,3]。天然痘が5前後、インフルエンザが2-3程度ですので、いかにこれら二つの感染力が強いかが身に沁みます。
今現在の水痘の発生状況
水痘を含め感染症の発生状況は国立感染症研究所のHPから随時閲覧できます[4]。インフルエンザやRSなどは表にされていてわかりやすく、報告数の少ない感染症は表になっています。恥ずかしながら水痘の初感染はワクチン接種の定期接種化で麻疹同様に国内ではほとんど見ないのではないかと思っていたんですが、そうではないんですね。入院例に限っているのですが11月時点で380症例程度報告されており、都内でも50症例ほど入院されています。たしかに、改めて考えてみれば、麻疹と違って水痘は帯状疱疹中にも病原体がいるので、ワクチン未接種や接種しても抗体価が低い場合や免疫不全であれば発症しますしね…。
水痘に対するN95は?
国家試験的には免疫を持っていない場合にはN95を付ける、というのが正しいと思われます。が、では免疫を持っているということはどうやって定義をしているのでしょうか。既感染でしょうか、ワクチンの2回接種でしょうか、確実な抗体価の上昇でしょうか。小児期に水痘にかかったとされている方のうち4.5%は実際には免疫を持っていなかったという報告もあったりします[5]。あるいはたとえワクチンを2回接種したとしても、発症予防は98%です[6]。かつ、とくに1回のみのワクチン接種の場合ですが、ワクチンの効果は時間経過で減衰していき、その場合にはブレイクスルー感染としての発症も指摘されています[7]。(ただし、同論文はワクチン接種は1回だけですので、2回接種した際のブレイクスルーの感染率についてはエビデンスはありません(管理人には見つけられませんでした)。
抗体を持つ人でもN95が必要?
上述のようにワクチン接種歴がってもブレイクスルー感染のリスクがある以上、不要とは言い切れないように思われます。ただし、今までにも無数に帯状疱疹や播種性帯状疱疹の患者を相手として、院内での医療従事者の水痘り患が少ないことを考えると、きっと抗体価が4以上の場合には不要なのかもしれませんが…色々調べているうちに確証がもてなくなりました。
少なくとも、例えばリスクがある人(糖尿病、免疫抑制剤内服、妊婦など)については、たとえ抗体を保有していたとしても、N95を使う方がいいのではないかと管理人は考えています。
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- 医療関係者のためのワクチンガイドライン. Available: http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/vaccine-guideline_03(3).pdf
- 病院における麻しん対策ガイドライン. Available: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/dl/080410a.pdf
- 感染症疫学センター国立感染症研究所. 水痘ワクチン定期接種化後の水痘発生動向の変化 ~感染症発生動向調査より・第2報~. 25 Oct 2013 [cited 4 Nov 2024]. Available: https://www.niid.go.jp/niid/ja/varicella-m/varicella-iasrd/6331-436d05.html
- 感染症疫学センター. [cited 4 Nov 2024]. Available: https://www.niid.go.jp/niid/ja/from-idsc.html
- Lo Presti C, Curti C, Montana M, Bornet C, Vanelle P. Chickenpox: An update. Med Mal Infect. 2019;49: 1–8.
- Kennedy PGE, Gershon AA. Clinical features of varicella-zoster virus infection. Viruses. 2018;10: 609.
- Chaves SS, Gargiullo P, Zhang JX, Civen R, Guris D, Mascola L, et al. Loss of vaccine-induced immunity to varicella over time. N Engl J Med. 2007;356: 1121–1129.


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