初めに
様々な場面でβDグルカンを採取すると思いますが、度々話題になるのが疑陽性の問題です。処置に用いるガーゼや、透析の時の透析膜などは有名ですが、他に何があるのか調べました。
疑陽性を起こす原因一覧
過去の報告[1]では、BDG を含む医療機器や投与物質による医原性汚染、粘膜バリアの破綻による腸管からの検出が挙げられています。医原性の中ではガーゼやスポンジ、医療機器の製造時の混入、セルロース膜による透析、免疫グロブリン製剤、アルブミン製剤、抗腫瘍薬、抗生物質なども指摘されています。
他の論文[2]では菌血症自体とβDグルカンの関係も指摘しています。筆者の結論的には菌血症とβDグルカンの間の直接の関与は少ないとされていますが、少し解釈が必要そうです。51例の菌血症患者のうち3例(6%)がβDグルカンが上昇していた、と報告されており、この3例はPCPや手術、AMPCや免疫グロブリン療法はされていないとしていますが、前述の論文[1]のような他の要因アルブミン製剤、抗腫瘍薬や医療機器による汚染の影響については吟味されているのかはわかりません。もし仮に疑陽性を起こすような医原性の素因がなければ、実に菌血症だけでも6%が疑陽性を起こす、となると無視できない率にも思います。
抗生物質中にもβDグルカンが含まれているという報告[3]もあります。本文を見ていただければわかりますが、入っていない薬剤の方が少ないです。それぞれの薬剤の投与量や投与期間、投与してからの採血までのタイムラグ、製薬会社の差など様々limitationは指摘できそうですが、少なくとも投与直後の際などには一考しておいた方がいいのかもしれません。
冒頭に紹介した論文[1]が非常に良くまとまっていますので、一読することをお勧めします。
(URL:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7824349/)
2025/5/30追記:A群溶連菌の偽陽性と偽陰性、レジオネラ尿中抗原について別途記事を記載しました。合わせて読んでみていただければ幸いです。
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引用文献:
- Finkelman MA. Specificity influences in (1→3)-β-d-glucan-supported diagnosis of invasive fungal disease. J Fungi (Basel). 2020;7: 14.
- Furfaro E, Mikulska M, Del Bono V, Guolo F, Minetto P, Gobbi M, et al. Bloodstream infections are an improbable cause of positive serum (1,3)-β-D-glucan in hematology patients. Clin Vaccine Immunol. 2014;21: 1357–1359.
- Liss B, Cornely OA, Hoffmann D, Dimitriou V, Wisplinghoff H. 1,3-β-D-Glucan contamination of common antimicrobials. J Antimicrob Chemother. 2016;71: 913–915.




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